明治橋

日本最古の現位置に存在する道路用鋼桁橋である。

明治35年に、大分県臼杵市野津町の現位置に架設された橋長32.6mの2連単純2主鋼桁橋である。当時日本にはほとんど製鉄技術がなく、この鋼製桁はイギリスのDormanlong社から輸入されたものである。

建設から100年以上経った現在でも人道橋として供用され続けており、この地に生活してきた私たちには普通の橋であった。しかし、その架橋の歴史と意義、そして当時の土木技術の高さ(合成床版構造であり現在でもコンクリートの圧縮強度は18.6~25.4N/mm2)を考えると、この明治橋の偉大さに脱帽せざるを得ない。また、橋台や橋脚の石積建造技術は構造力学の観点だけでなく芸術性の高さが伺われ、近接する仮屋橋(安政橋)との景観は、我々土木技術者の奥底に眠っている新鮮な熱意を奮い立たせる。

経年劣化における損傷度は低いといっても鋼製桁の腐食や床版に発生している水平ひび割れを考察すると、今後さらに劣化が進行すると考えられる。

この貴重な土木遺産を保存し、さらなる調査を行うことによって、今後の維持管理等の技術の向上を図ることが我々に与えられた使命であると考える。

道 脇 哲 郎

※ 参考文献 現存する日本最古の道路用鋼桁橋 ~明治橋(大分)~建設の謎と損傷度調査     日 野 伸 一

2016年06月30日